とんとんLife Blog

本を読んだり、ニュースを見て考えたことを皆様と共有していきたいと思っています。

アンケートのサンプルはいくつ必要か

「お客様のうち何パーセントが当社の製品の満足度に満足しているか」といったアンケートをする場合、サンプル数はいくつ調べればお客様全体の情報が得られるか。仕事上、このような質問されることが多いので、統計的にどう計算すればよいか調べてみました。

計算式としては、式(1)で計算でき、信頼区間と誤差を指定すれば、必要なサンプル数(n)は、信頼区間によってきまる定数(k)、許容する誤差(e)、母比率(P)を指定すれば決まります。

   n=(\frac{k}{e})^{2}P(1-P)・・・(1)

因みに、信頼区間を95%、誤差を5%とすれば、k=1.96、e=0.05になります。Pは不明なので、0.5とすればOKです。そうすると、必要なサンプル数は384となります。
とりあえずは、このくらいの数を調べておけば安心です。ただし、ランダムにサンプリングすることが前提で、これは別途検討が必要です。

実務上はこれだけ覚えておけば十分ですが、厳密な計算をしようと思えば、以下のように考えます。

母集団の数がN個で、そのうちある特性をもつものの割合をPとする。その中からn個を取り出した場合のある特性をもつものの割合をpとすると、pは超幾何分布に従う。
そして、pの信頼区間は、式(2)で表せる。なお、σは標準偏差であり、(3)式で表せる。

   P-kσ<p<P+kσ・・・(2)
   σ=\sqrt{\frac{N-n}{N-1}}\sqrt{\frac{P(1-P)}{n}}・・・(3)

許容できる誤差が信頼区間の幅に等しいとすると、式(4)が成立する。

   2kσ=2e
   2k\sqrt{\frac{N-n}{N-1}}\sqrt{\frac{P(1-P)}{n}}=2e・・・(4)

式(4)をnについて解くと、式(5)が得られる。

   n=\frac{N}{(\frac{e}{k})^2\times\frac{N-1}{P(1-P)}+1}・・・(5)

厳密には式(5)でサンプル数を計算しますが、nNの10分の1以下の場合は、式(1)に近似できます。
現実的には、サンプル数は母集団の10分の1以下の場合が多いので、式(1)の計算で十分です。

「超」入門 失敗の本質

日産自動車、スバルの検査不正、神戸製鋼の製品データ改ざん。2017年は日本を代表するメーカーの不祥事が相次いて起きました。これらの事件と大東亜戦争での日本軍の敗戦とは、「隠れた共通の構造」があるのではないでしょうか。名著「失敗の本質」の解説書である本書から、探ってみました。

 本書では、失敗の原因を①戦略の曖昧さ、②変化に対応できない「日本的思考」、③イノベーションの欠如、④型の継承、⑤現場を活用できない硬直組織、⑥リーダーシップの欠如、⑦集団の空気、といった観点から論じています。この中から、気になった個所について私なりに考えたことを紹介します。

戦略の曖昧さ

戦略とは目標達成につながる勝利を選ぶこと(p40)。

戦略決定とは、追いかける指標のことである(p48)。

有効な指標を見抜く指標の設定力こそが最大のポイント(p48)。

述べられていることは、事業運営におけるKPIマネジメント考え方に似ていると思います。これは、企業の戦略目標を達成するための重要業績指標(KPI)を設定・管理するものです。KPIは、1)目標と相関があること、2)先行指標であること、3)組織がコントロールできること、とった条件があります。そのため、適切なKPIを見つけ、それを改善していけば、戦略目標の達成可能性が上がることになります。

 

KPIマネジメントは欧米で発達したものですが、日本企業での定着は難しいのでしょうか?

多くの日本企業が、ホンダと同様の体験的学習により、偶然新戦略を発見する技能に極めて優れていた(p56)

意識せず発見した「経験則による成功法則」では、適用すべき範囲が難しく、結果として過去の成功事例の教義主義に陥りやすいのです。(p57)

本書の中では、ホンダのスーパーカブの事例が述べられています。「小型で気軽に乗れる」という指標を発見し、アメリカが大ヒット商品に育て上げました。しかし、この指標は偶然発見されたものなので、単純にその他の商品、地域に展開しても再現性はありません。それに気付けない日本企業が多いかもしれません。時代、商品、場所など条件が変われば、戦略も変わるはずで、論理的にKPIを設定する必要があります。

 

  • リーダーシップの欠如

イデアイノベーションは、環境さえ整えれば、組織のあらゆる階層から生まれます。(p188)

新たな指標としての戦略は、現場から生まれることが多く、リーダーはその価値を見抜く必要があるのです。(p188) 

リーダーが自分の考えに固執すれば、当然のことながら組織はそのリーダーが考えている以上の成果は出せません。リーダーがスーパーな能力を持っていれば、それでよいかもしれませんが、現実的には組織内のメンバーからの優れたアイデアを集める必要があるでしょう。そのためには、「環境」を整える必要があります。「こちらから良い意見を言い出すのは無意味」と思わせないようにしなければなりません。

 

 危機感を維持できる環境とは、不均衡を仕組みとして意図的に組織内に発生させ、その不均衡を新たなよりたくましい均衡へと変換できる組織(p202)

組織の変更、仕事のやり方の変更、・・・敢えてしんどいことやるのがリーダーなのでしょう。。

 

  • 集団の空気

時に空気を読まない言動も必要です。

問題が未解決のまま、対策を見つけていない状態には、ある種の心理的苦しさがともないます。そこから一旦、集団において何らかの合意が得られると、結論を再度懸念する相手に対して「いまさら蒸し返すな」という心理が働くのは、ごく自然なことかもしれません。しかし、議論も結論も、最終的に追及すべきはベストな解決策、ベストな結果を生み出すことです。(p221)